脆弱性の深刻度を評価するためのオープンで包括的、汎用的な評価手法が2004年10月に米国家インフラストラクチャ諮問委員会(NIAC: National Infrastructure Advisory Council)のプロジェクトとして提案されました。この手法は情報システムの脆弱性に対して共通の評価方法を提供することを目指しています。
その後、フォーラム・オブ・インシデント・レスポンス・アンド・セキュリティ・チームズ (FIRST) がこの手法の管理団体として選ばれ、適用推進や仕様改善が行われ、2005年6月に最初のバージョンが公開されました。その後、2007年6月にはバージョン2が、さらに2015年6月にはバージョン3が、そして最近では2021年2月にバージョン3.1が公開されました。
この評価手法では、情報システムの脆弱性を次の3つの基準で評価します:
脆弱性そのものの特性を評価する基準です。評価項目には以下が含まれます:
脆弱性の現在の深刻度を評価する基準です。評価項目には以下が含まれます:
ユーザの利用環境も含め、最終的な脆弱性の深刻度を評価する基準です。評価項目には以下が含まれます:
2007年にリリースされたバージョン2は、主にホストやシステムの脆弱性による深刻度を評価していましたが、バージョン3では仮想化やサンドボックス化などの利用状況の変化を取り込み、コンポーネント単位での評価が行われるようになりました。
バージョン3では、脆弱性の評価項目として以下の新しい項目が追加されました:
バージョン3.1では、バージョン3の評価基準をさらに改善し、以下の点が追加されました:
この評価手法を用いることで、脆弱性の深刻度を定量的に評価し、比較することが可能になります。また、ベンダー、セキュリティ専門家、管理者、ユーザ等が脆弱性に関して共通の言葉で議論できるようになります。
詳細な評価方法や評価基準については、各バージョンの仕様書を参照してください。最新の評価手法を理解し、適用することで、情報システムのセキュリティを効果的に強化することができます。
OWASP(オワスプ)とは、「Open Web Application Security Project(国際ウェブセキュリティ標準機構」の略で、ソフトウェアのセキュリティ向上を目的とする非営利財団です。Webアプリケーションのセキュリティに関する研究や、ガイドラインの作成、脆弱性診断ツールの開発、イベント開催等の多岐に渡る活動を行っています。また、世界中に275以上の支部が存在し、日本にも「OWASP Japan」が存在します。先述の「OWASP」がWebアプリケーションに関する脆弱性やリスク、攻撃手法などの動向を研究し、Webセキュリティ上多発する脅威の中で、その危険性が最も高いと判断された項目をまとめ、定期的(2~3年周期)に発行しているセキュリティレポートになります。
現在公開されている最新版は2023年に発表された「OWASP Top 10 2023」となります。OWASP Top 10では、以下に示すOWASP Risk Rating Methodologyに基づいた格付け手法により評価し、リスクの高さを可視化して危険度の高い10項目の脆弱性を整理しています。
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